1999年10月18日「は2」

 

長い戦いであった。
思えば、「やんちゃくれ」の頃から痛かったから、
もう1年近く戦っていたことになる。

長かった・・・・

今日でこの「虫歯」の治療が終わる。
正確には、先週の段階で終了したはずだったのだが、
映画やらなんやらで忙しく、結局行けなかったのだ。
だからこの1週間、ず〜っと歯に穴が開いた状態だった。
何か食べると、穴にいつもはさまって大変だった。
そんなつもりはなくとも、歯の中に食料を備蓄できたのだ。
それはそれで便利であるが、なんとも不潔きわまりない。

そんな苦しみも今日で終わり。

俺の胸は、希望でいっぱいだった。
「下川みくに」の歌さえ、うまく聞こえる気がした。
いや、それはやはり気のせいか。
「チェキッ娘」はいったいなんだったのか。
それもいい。

踊る心を押さえ、俺はワイングラス片手に歯医者へと向かった。

「今日で終わりですね」

先生は、作り笑顔でそう言った。
そう、俺を改造しようともくろんでいたあの先生だ。
ペルシャ絨毯の上に、バスローブを着て立っていた。

治療が終わった暁には

「お前は今日から『改造人間ミミゲルゲ』だ」

と言われてしまうのだろうか。
おっと、それはバロムワン。
誰かミミゲルゲを知っているだろうか?
知っている人は、イラストつきでおくってほしい。
想像図だってかまわない。

第1回「ミミゲルゲ」選手権 daih@bf.mbn.or.jp

優勝者には、ミミゲルゲのハンドル使用許可を命じる。


今日の治療は簡単だ。
空いた部分をつめるだけ。
何も削るものはない。

先生が、奥から詰め物をもってくる。

「これを詰めますね」

そう言い放つ。
アシスタントの「かわいい(憶測)ねーちゃん」も健在だ。
いまだマスクで顔はわからない。

「君の心の隙間の詰め物になりたい」

いまいちゴロが悪い。

「君の心の隙間を補完したい」

それじゃあエヴァだ。

「俺の母親は久美子だ」

それはおかんだ。
ウガンダはカレーが好きだ。

それにしても思うのが、本当にただの詰め物か?
発信機が仕掛けられてはいないのか?
だとすれば、2000年問題はクリアしているのか?
今年もまた、年越しチャットをやるのか?
そんな疑問が脳裏をよぎる。
ひょっとして、超高性能のカーナビではないだろうか?
だとすれば、現在地がばれるのか?
コンビニは表示されるのか?
アップグレードはできるのか?
誰かに答えて欲しかった。

本当に12月29日にドラクエ7が出るのか?
それも誰かに答えて欲しかった。

俺の疑問をよそに、
早速治療が始まった。

今回、ひそかな目標があった。
前の日記で

「目を開けるべきか閉じるべきか」

という問題を提起したところ、

「普通開けません」

と、お叱りのメールをいただいた。
それならばと、俺はずっと目を開けたままにしたのだ。
ひょっとすると、俺が目をつぶっている間、とんでもない光景が繰り広げられているかも
しれないのだ。
そう、そうなのだ。
人間、かならず目を閉じる。
実は、自分が閉じている間には、とんでもないことが起こっているのかもしれないのだ。
それに気付いていないのかもしれない。
目を閉じている時の世界。
英語でなんていうのだろう。
誰か教えて欲しい。
ボケてくれたってかまわない。

daih@bf.mbn.or.jp


こんなことも考えた。
もし、治療中にこの天井が落ちてきたら、俺はどうすればいいのだろうか?
そんな恐怖と戦いながら・・・。

治療は実にあっけなく終わった。

「細見さん、うがいしてください」

終わった・・・全てが終わったのだ・・・。
俺は、ゆっくりと水を口に含んだ。

1回、2回、口をゆすぐ。

「痛い」

思わず声をあげる。
心配になった先生が、再び診察した。

「あ〜、また違うところに虫歯ができてますね。また来てください。ははははは」

俺の虫歯は、まだ終わらない・・・・・・・

P.S.「かわいいねーちゃん」と思っていた人は、「かわいいかあちゃん」でした。
   最初からマスクはとっておいてくれよ。それがある意味、一番ショック。

 



 

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