1999年10月23日「エスティシャン」

 

とある中華屋にて

隣に座っていたおじさん(というかおじいさんかも)と若い女の子2人の会話。


あまり人の会話に聞き耳を立てるのは、よくないことなのだが、
なぜか無性に気になった。


おじさんは、先に一人で店に来て、気合をいれてガンガン注文していた。
この時点ではおじさんはまだ一人。

はりきっていたのだろう。
女の子達はまだ姿を見せぬというのに、
注文した料理はガンガンテーブルの上に並ぶ。

店員に

「大丈夫ですか」

と言われ、初めは

「大丈夫大丈夫、すぐに来るから」

と、優しく微笑んでいたおじさんも、
女の子達が来るのが遅いのと、
少しぐらい遠慮してあげればいいのに、ガンガン料理を持ってくる店員に
イライラしはじめた。

頭を軽く、フキンで拭うおじさん。

ようやく女の子到着。
やや派手目の服装が、25歳の僕の目にとまった。

「この3人はどういう関係なのだろう」

僕の興味は、ピータンよりこの3人に向かい始めた。

3人がそろい、乾杯でもするのかと思いきや、
おじさんは

「さあ、食べて食べて、料理冷めるから」

と、有無を言わさぬ攻撃にでた。
女の子達も、遅れてきたことに引け目を感じているのか、
飲み物を注文することなく、がっつきはじめた。

「おいしい〜」

女の子達の黄色い悲鳴が走る。
おじさんは、頭を拭う。
僕はピータンそっちのけ。

女の子達が食べる姿を見て、おじさんは上機嫌になる。
怒涛のトーク攻撃。

「家、どこなの?」

と、おじさん。

「●●です。家、床屋やってるんですよ。きゃはは〜」

と、女の子。

「そうか〜。じゃあ、今はやりの『カリスマ床屋』だね。」

と、おじさん。


ド〜〜〜ン
(僕の心の中で鳴り響くおやじギャグ)

おじさん、頭を拭う。
僕、ピータンを一口食べる。


しばし静観。


再び、おじさん。

「今の仕事、結構給料いいの?」

「う〜ん、まあまあかな。小銭ためてるから」

「そうか〜、貯金してるのか〜。親が床屋だけに、
『チョッキン、チョッキン』」

ド〜〜〜ン
(僕の心の中で鳴り響くおやじギャグ)

おじさん、頭を拭うも、フキンを下に落とす。
僕、ピータンをほおばる。


しばし静観。

この時点では、3人の関係がまるでわからなかった。
すると、友達が何かに気付いた。
僕にこっそり言う。

「あのおじさん、気功師だって」

「え?貴公子?」

この友達の一言で、僕には理解不能の3人になったことはいうまでもない。


ところで、女の子が「私、エスティシャンになりたいな〜」
と言ったところ、おじさんはこう答えた。

「ああ、いいね〜エスティシャン。
結婚してからも、旦那が喜ぶよ」

女の子は、凍りついた。

おじさん、エスティシャンて何の職業だか知ってる?

 



 

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