2001年11月30日「財布

 

今日は本当なら自転車に乗って劇場に来ている人たちで
焼肉を食べに行くところを、
昼間お医者さんに行った為、自転車で劇場まで行かなかったのです。
だから焼肉は食べに行かず、友達とまたもスパゲティーを食べに。

食事がすんで、さてお会計という時に
僕はその異変に気づきました。

「財布がない!」

そうです。いつもなら僕のカバンに入っているはずの
僕のお気に入りの財布がないのです。
その瞬間、今日1日の行動が走馬灯のようによみがえってきました。

お医者さんで忘れたのか?
駅で切符を買った時か?
それとも、プロテイン用の牛乳をコンビにで買った時か?

様々な憶測が憶測をよび、
結論として「楽屋に忘れた」という説が濃厚に。

時刻はすでに午後11時。
今から劇場に戻るか?
しかし、戻ったとして中に入れるのか?
なむさん!

急いで劇場の方へ戻る。
アルパがあいてたので、そこにいた警備員さんに

「すみません。出演者のサンシャイン劇場なんですが
財布を忘れて愉快なサザエさんです(誇張)」

「あいわかりました。全て理解しました。要するにこうですね。
あなたは財布を楽屋に忘れた。」

「そうです。あらかたそうです。」

「では、ひと肌脱ぎましょう。〇〇にいる警備員さんに
聞いてください。」

僕は急いでサンシャイン劇場のある文化会館の警備室へ。
もし楽屋に財布がなかった場合、それはもう最悪なわけで。
色々な事態が予想されるわけで。
各種カードの使用停止はもとより、
一番重要だったのは、9月に行った北海道旅行の時に
記念にとっておいた「北海道周遊券」。
これがなくなるのはいたい。

泣きながら警備室へ。

「すみません。そういうことなんですが、どうですか?」

「なるほど。ほぼ理解しました。キャラメルボックスの方ですね。
しかし、あなたを証明するものは何かありますか?」

「僕という存在は、僕にしか証明できないはずなんです。」

「それは正論です。しかし私も仕事がある。
あなたをなんとか証明していただきたい」

「では、今回のセリフの一節をやりますか?」

「よござんす。しかし、証明書の類を見せてください」

「そりゃもっともです。では、これが保険証です。
これが何よりの証拠であり、僕の証でもあります。」

「確かに言うとおりだ。では、上にかけあって、中に入れるかどうか
許可を得ましょう」

祈るような思いで、許可がおりるのを待った。
そして、

「万事OKです。あなたはきっと、楽屋に入ることができるでしょう」

こうして僕は、無事楽屋に入ることができたのです。
そして、鏡前には、どう見ても忘れないだろうという具合に
僕の財布が転がっていました。

「なんと情けないことか。こんなふうに忘れられた財布もまた
かわいそうだが、忘れた僕はなんと愚かなことか。」

「さて、ここで一つ確認がとりたいのです。保険証ではなく、
免許証とかはありませんか?その、あなたの顔が確認できるものが」

・・・僕は免許証などなかった。
しかしここは楽屋、なんとか僕の顔と名前を一致させることが
できるものがあるはずだ。

ふと目についたのが、加藤さんが撮った本番中の
僕の顔。しかしその写真は、なんとも恥ずかしい
僕の「イ〇キ顔」だったのだ。

「あの、これ、少し顔違いますけど僕です。」

「・・・・」

僕はあせった。
警備員があきらかに不信感を抱き始めている。
そして、そんな僕の前に天の助けが。

『明治座のチラシ』

そう、このチラシには僕の写真が載っている。
しかも、ヅラの姿で。
しかも、どこかしら痩せ衰えた老人のようなイケてなさで。

「あの・・・これ、これ僕です。僕なんです。ヅラですが」

そのチラシを見ると、警備員の口の端がかすかにゆがんだ気がした。

結局、その明治座のチラシと
「トークアンドフォトブック」の写真で
なんとか僕の証明ができた。

良かった。本当に良かった。
こんな夜中に、ちょっとした冒険だった。
こんなとんでもない冒険に付き合ってくれた友達よ、ありがとう。
そして、快く楽屋に入れてくれた警備員のお兄さん、ありがとう。

もちろん、この話は本当ですが、会話の内容は
てんで性悪キューピットじゃなくて、フィクションです。

でも、明治座のチラシに写っている
僕が笑えるのはノンフィクション・・・・。


最近「ウィルスメール」が大量に届きます。
本当に困ったもんです。
でも、本当に怖いのは、「ウィルス」ではなく
「ウィルス」を作っている人間の心です。

どんなに駆除したって、
人の心までは駆除できませんぜ。

もっとも、人の心がスキャンできるくらいなら
苦労はしないけどね。




現実11月へ戻る

現実indexへ戻る