2001年3月6日「たとえばそれは、深い井戸の奥底で

 

まず最初に、1ヶ月近く更新できなかったことを謝ります。
毎晩のようにパソコンに向かい、
そしてネットに接続していたのですが
それでも更新することができませんでした。
それはもちろん僕の個人的な事情であり
ここでお話するようなことでもないのですが
僕がしばらくの間考えていたことを
少しずつ、語り始めようと思います。

この2ヶ月、僕はまったく「動かなかった」。
もちろん、生活のために仕事もしていたし
気晴らしに旅行にも行ったし
本も何冊も読んだ。

でも僕は、本当に「動かなかった」。
無感覚、とでもいうのだろうか。
自分の体と世界との境界線がなくなっていた。

全ての感覚は世界のありとあらゆるものに溶け込み
僕という存在が、どこにいるのかすらわからなくなっていた。

たとえばそれは、深い井戸の奥底で
暗闇に包まれていたような、そんな感じだった。

何も見えない、何も聞こえないその場所で
僕はただじっと息を潜めていた。

ここ数日、ようやく僕は、無感覚な世界から
刺激的な世界に戻ることができた。

そこにあるものは、喜び、悲しみ、そして痛み。

鼓動が少しずつ早くなる。
世界に溶け込むことなく、
一つ一つの感覚が、しっかりと繋がり始める。

ある日の真夜中、僕はとても奇妙な音を聞いた。
それは、ねじを2回ほど巻いた音だった。
以前読んだ本の中に「世界のねじを巻く鳥」という話があったのだが、
まさにそれと同じだった。

「ギリ・・・・・ギリ・・・・」

ありもしない幻想に夢を抱くのは
とても心地のよいものだ。

幻聴だったのかもしれない。
でも、僕は確かに聞いた。
世界のねじを巻く鳥の声を。

たとえ僕が、井戸の底から這い上がってこれなくとも
ねじまき鳥は、どこかでねじを巻きつづけている。

僕が世界に待たされたとしても
世界は僕を待ってはくれないのだから。


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