2002年10月1日「別れ」

 

目が覚めるとランゲルハンス島の果ての
ベッドで横たわっていた。
横には、まだワイフが寝ていた。

昨日ワイフは財布をカリブで落としててんやわんやだったが、
今夜はぐっすり眠れたらしい。
新宿で買った完熟トマトを優雅に押しつぶしている。
たまに聞こえる寝言と歯軋りが、
この生活の幸せを物語っている。

遮光カーテンをあけ、窓の外を眺めていると、
民族衣装をきたラオウが、「我が生涯に一点の悔いなし」と
太鼓をもって叫んでいる。
子供達も一緒に、だ。

ラジオ体操が始まる。

今日は何をしようか。僕は考えた。
3時間あまり悩んだあげく、
この前いけなかった京都に行くことにした。
まずはワイフが起きる前に、僕はこの計画を
入念に立てなければいけない。

外に出て、牛の乳をしぼる。
2回、3回、力強く僕はそれをしぼる。
子供の頃を思い出す。
あの頃は、気がつけばいつも乳をしぼっていた。
しぼらなければ、父にしぼられるからだ。
僕は無心に、ただひたすらしぼりつづけた。
その結果、僕は今「しぼり大臣」でいられるのだが。

牛の乳をしぼった後、僕は豪快にそれを川に流す。
ミルキーウェイの誕生だ。
そこから顔を出す魚を、ドンキホーテで買った
虫取り網で採集しなければいけない。

森のガーディアンが踊りだす。
正午だ。
僕は道なき道を進んで、未知に進んだ。
つぼをもった少女に出会った。
僕はそのつぼを割りたくなった。
時には合成したくなった。

かまいたちの刀+30の出来上がりだ。
京都に行く準備はそろった。

僕は駆け足で家に戻った。
途中、かつおは花沢さんに殴られていた。
みんなが笑ってる。
お日様も笑ってる。
僕は満面の笑みでほくそえんだ。

家に帰るとワイフが実家に帰っていた。
僕は逃げられたのだ。
リビングの机の上には、一通の手紙がおいてあった。

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「ワイフの手紙」

拝啓、お元気ですか。
私が元気です。

前略、突然のご無礼をお許しください。
私はどうしてもあなたの前を去らなければいけませんでした。
理由は3つあります。
いえ、2つ。
ひとつです。

なぜなら私は、あなたを愛していたから。
そう、誰よりも。
でも、私はあなたの前から去らなければいけなかった。

私は怖かったのです。
あなたが、いつか私の元を去ってしまう日が来ることを。
あなたが私を捨てて、北斗神拳の正統な後継者として
生きていかなければいけない日がくることを。
もちろん、あなたについて離れなければ
あるいはあなたとずっと一緒にいられたかもしれません。

でも私は怖かった。
いずれあなたが、私を重荷に感じてしまうことを。
あなたが、私を背負うことで、自分の人生に
疑問を感じてしまうことを。

もちろん、優しいあなたのことだから、
けっしてそんなことはないよと、私を優しく抱きしめて
くれたのかもしれません。
でも私には、それが許せなかった。
あなたの優しさに甘えて、どんどんみじめになっていく
自分に。

そして、その言葉が本当にあなたの心からの言葉なのかどうか、
疑ってしまう自分自身もいやだった。

わかってください。

私は、あなたが思っているようなしっかり者なんかじゃない。
私は、うっかりはちべいだった、むしろ。

そして私は

「あなたを信じれるほど、強くはなかった」

これが最初で最後の、そして2通目の手紙です。

探さないでください。
どうか私の、最初で最後の、
いや、2回目のわがままを聞いてください。

それではこれで、ペンと筆をおきます。
お元気で。

p.s. お元気ですか。

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僕は軽く涙ぐんだ。
大切なものをはじめて失った。
僕は結局、彼女の何をわかっていたのだろう。
彼女の何をわかろうとしたのだろう。

ミルキーウェイでとれた魚が、
ピチピチと寂しそうにバケツの中ではねている。

僕は結局、最後まで彼女に言えなかった、
僕が、南斗神拳の正統後継者であることを。
そしてまた、ユダであることを。

さようなら

■ 私には、別れが辛いような人はいるでしょうか…。あ、もしかして一番乗り?♪ (涼屋 さん)
■ 『ある日ワイフはこう言った。「あなた、秋の京都なんて…………渋いワね」』ビビる大木よ、がんばって早く相方を探しておくれ(むせび泣き)。ちなみにオセロの中島智子って京都の山科出身って知ってた?!ドスえ〜。 (あやの さん)
■ 「ワイフの手紙」は長野里美さんの声で読んでしまいました(^^ゞ (みー さん)
■ すごいおもしろい〜で、京都、行くんですよね。 (きゃら さん)
■ 理由が3つ→2つ→1つって減ってるし。これは遠慮? それとも愛? それともやっぱり、うっかり八兵衛?(笑) おっと、彼女もペンと筆の二刀流なんですね?! なら、北斗神拳でも南斗神拳でも十分に対抗できそうな気がするんですが…。残念な結果でしたね、ご愁傷様でした。合掌(-人-) ←殺さないように (ダダ★ さん)
■ 「しぼり大臣」の手さばきって、すごそ〜(^^;やっぱり選挙で当選した人がなるのかしらん。 (ヴァンドレッド さん)
■ ・・・長い・・。これだけ長いのに書き込みがすくないのって・・。細見さんの日記は奥が深い!ような・・。あ、はじめまして。 (ミヤケイ さん)
■ 細見さんの文章って…本当にシュールですわ。けど、めちゃめちゃ身につまされるところもあったり。うーん、考えすぎると、思考回路が迷宮入りしちゃうなあ。はっはっは(謎)。 (Q*たろう さん)
■ ら抜き言葉は成井さんに怒られたりしませんか?まあ細見さんじゃなくてワイフさんですから仕方ないかもしれませんね。 (hiro3000 さん)
■ ラ氏島で糖質コルチコイドと鉱質コルチコイドとが牛乳をペットボトルにいれ冷やしながらふりふり。できたバターはほんのちょっぴり。 (黎 さん)
■ ラオウが缶けりアイス作ってたでも可 (黎 さん)
■ 細見さん……長いよ(笑)しかもこんな時間に起きてるの?すごいわ。 (あい さん)
■ 私も「うっかりはちべい」だった(カンでなくカムだよ…ね、パネルラ…)。だからご隠居を探さなくては。「あ、あそこに団子屋が〜〜♪」…道は遠い。 (ちはや さん)
■ 『何が始まったんだ!?』と、ちょいとビックリいたしましたです(笑)。『満面の笑みでほくそえんだ』って、どんなかんじだろう・・・見てみた〜い〜☆嗚呼テンションが変・・・。 (ユイ☆ロック さん)
■ え?!ビビる大内っていなくなっちゃったんですか?!(あやのさん・・・教えてください)いやあ〜・・・花沢さんってば、おてんばさんですねえ。もう、未来のダンナサマなんだからっ!っていうか私の知り合いの多くの人は、スヌーピーの「ルーシー」の名前を覚えられなくて(というか覚える気がなくて)「花沢さん」と呼んでいます。に、似ていル・・・!(?) (かなりや さん)
■ おっと。ツイ仕事中に「?なんだか長いぞ。」ツイツイ全部読んでしまい、ツイ「ふっ」その瞬間周りが引いていた。やはり仕事中読むべからず。ちなみに私も同感、ビビる大木よ。 (しょうこ さん)
■ 最近、季節の変わり目らしくて洋服を選ぶのがたいへんですね。そういえば台風きましたけど皆さん大丈夫でしたか?家の前に瓦が23枚落ちているんですがどなたのお家のものなんでしょうか?そして私はその瓦をどうすれば良いんでしょう(>_<)うーん、もう使えないんでしょうか?(;-_- (香織 さん)
■ もう〜、細見さん!私の心は惑わされっぱなしですわ〜 笑って読んで良いのか、真剣に読んでいいのか・・・めちゃくちゃですがな。でも、「いつか自分の元を去ってしまうような恐怖」と「愛しすぎてあなたの重荷になるんじゃないか」という不安は、よーく分かる。 (かえで さん)
■ あ、それから最後の一文「ユダであることを」を読みながら、「ヨーダ」を思い浮かべちゃった。 (かえで さん)
■ えええ?あやのさん。ビビる解散?真相を待っています。ちなみに、オセロの松島尚美さんは、私の中学高校の先輩にあたります(かんけーねー) (つっきー さん)
■ なんとなく気持ちが解かる気がします。私にも大好きだったけど別れなければいけない人がいたから。うーん。色々思い出します☆ (ともみ♪♪ さん)
■ 愛。苦しいけれど、切ないけれど、とても欲しいもの。現在私の隣にはダーリン(あ、ハズバンド?)はいなひ…ああ…。そういえば現在京都の大学に通う友達はオセロ中島の後輩です。 (みか さん)
■ 私は彼との出逢いを幸せに感じ、行けるとこまで一緒に進みたい。わがままを言うなら・・・ (うー子 さん)
■ ちょくちょく覗かせていただいてますが(ドキドキ)『僕はつぼを割りたくなった〜中略〜かまいたちの刀+30』がひっかかって思わず書き込みしています。”風来のシレン”ですか?私も大好きです。今、私はトルネコの大冒険やってますが…。(ちがったらすみません。) (やすこ さん)
■ かなりうっかりはちべいなワタシは (すー さん)
■ あう〜、書き込みが途中・・・ごめんなさい。かなりうっかりはちべいなワタシは明日大事なテストがあることをすっかり忘れていた・・・今から京都でも、いやもっと近場でもいいからとんでいってしまいたい(既に逃避中だろう!)・・・ (すー さん)
■ 10月1日「入籍」しました…。夢之歳月パーティーin大阪 でラブラブだった彼とは別の人です。ふふっ (すずめ さん)
■ この文章を読んで1句詠んでしまいました「悲しきや ワイフに真実言えぬまま 今日もひたすら 搾り続ける」以上、オ●ロの松島さんの大学の後輩でした。 (もこもこ さん)
■ 先生、なかなかスゥバラシイ生活を過ごしていらっしゃいますな。いやあ、実にうらやましい朝のひと時だ。奥さん、いい言い回しっすねえ。是非弟子にして下さい。 (saki yoshiko さん)
■ あれ?なにか記憶にある落ちが・・(笑) (景子 さん)





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